眠り姫は目覚めた。
そうだ。」

和也はメモを取り出して、

「連絡先ここだから。携帯電話、メール、パソコンのアドレス。いつでも連絡してください。あ、仕事中はなかなかすぐに連絡ってわけにはいきませんけど…。」
「ねぇ和也、なんで〇〇に就職できたの?あそこかなりの大企業で、かなり倍率高いよ。」
「ああ…。まぐれでしょうね。」

嘘。

「社長のご令息は゛Skip゛のYouでしょ?たしか、Mayuとデキ婚した。」
「…そうですよ。」
「和也は見た事ある?」
「ありますよ…。」

本当は里菜も見たことあるだろうに。悠太は和也の弟。

「和也って給料どれくらいなの?」
「大卒ですからそれなりに…。明確に言うの?」
「だよねぇ。他人なんかに言えないよねぇ。」
「……。」

和也は専務、土地、株などで相当な利益はある。使わないだけで。

「ま、お金の話はいいじゃないか。お金持ちがいいかどうかはその人の偏見であって、その人の価値観だろ?悲しい人ですね、その人。教えてあげますよ。お金より大切なものを。」
「……。」



和也は里菜を家まで担いで行く。里菜の実家。母は出てくる。母は和也を見て、

「あ…。」
「すみません、里菜さんが潰れていまして。」
「ごめんなさい…うちの里菜が何か失礼な事しませんでしたか!?」
「いえいえ、可愛かったですよ。久しぶりに会いましたから嬉しくて。…里菜さんは酔い潰れましたけれど…。」
「…すみません、本当に…。」
「…気にしてられますか?…いいですよ。堅苦しいのはキライですから。」
「そ、そんな…社長さんのご令息に失礼な事はできません…。」
「…里菜さんには内緒にしていて下さい。里菜さんまで染められてしまいましたら、私の居場所が無くなってしまいます。知らない方が幸せですから。」
「はい、わかりました。」
「里菜さんをお部屋まで運びます。」
「そんな…里菜なんてそこに放っておいても構いません。」
「優しく寝かせるまでが私の仕事です。」
「……。」



和也は里菜を部屋まで運び、机に、アドレスと、

゛拝啓、里菜へ。
里菜、今日はありがとう。いろいろ話せて幸せだった。いつでも連絡してください。相談になら、僕でよければ乗ります。里菜がいつでも幸せでいるように願っています。
< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop