眠り姫は目覚めた。
敬具。
和也より。゛
と書き置きを残して、
「報酬はその寝顔だけでいいよ。」
と言い、優しくそっと里菜の頬にキスをする。そして、和也は家に戻る。
しばらくして、里菜が目覚める。
「う〜ん…。」
起き上がる。
「う…頭痛ぁ〜い…飲み過ぎたかなぁ…あれ?なんで家にいる…の?…確か…和也に会って…和也の家で…ピンドン呑んでから…え〜っと…うっ…頭痛ぁ〜い。」
里菜は立つ。ふらふら。里菜は机の上のメモに気付く。
「和也…。」
里菜は下に下りる。居間。母と弟がいる。
「…ねぇママ、何で私、家にいるんだろう。」
母は、
「和也君が酔い潰れた里菜を運んで来てくれたの。それでね、里菜を部屋まで担いで、ベッドに寝かせて、帰ったのよ。」
「……。」
弟は、
「姉ちゃん、男と二人きりでいて、襲われなかったの?あ、そうだよな。里菜ねぇには色気はねぇし、女っ気ないから、性欲出ないか。」
「失礼しちゃうわ。和也は女をむやみに襲うような、あなたみたいなタラシ男じゃないし。」
「女として見られてないだけだろ?早く彼氏見つけて連れて来いよ。それでさ、やって、子供作って産めよ。」
「うるさいわ!」
「ま、そんなカラダ求めるおめでたい男はいないか。」
「知らない!」
里菜は走る。弟は、
「あの、超お坊ちゃんに見初められたらどれだけ凄いだろうね…。」
母は、
「…里菜には無理よ…私達とは次元が違うわ。…もし、里菜が見初められたら、すぐにでも子作りさせるわ。…冷めないうちに。でも、それは高望み、99.9%ないわ。」
「姉ちゃんは知らないのだよね?」
「えぇ、口封じされてる。」
里菜は恐る恐る、和也に電話を掛ける。
「和也、今日はごめんなさい…。」
「いいですよ。楽しかったですし。里菜、価値観の狂っている男なんて見返してあげよう。」
「和也ぁ〜。」
「来週、土曜日会いましょう。打ち合わせです。帰ってこれる?」
「ここにいるわ…。休職してるから…会社へ行けば会ってしまうの…。」
「里菜、それより、携帯電話、掛け直そうか?」
「何で?」
「里菜の携帯料金掛かるだろう?こういうのは男である僕が背負うのが礼儀です。」