眠り姫は目覚めた。
ライだ。」
「繁行さん、私は全てを断ち切る為に来ました。地元に戻って、いろいろ考えて、たどり着いたの。私にとって大切な人。」
「彼氏か。」
「ええ。」

和也が出て来て、

「里菜は私の女だ。」

男は笑って、

「ははははは、笑わせてくれるね。普通の男じゃないか。これじゃあ一生貧乏のまま終えていくね、里菜チャン。」
「あなたはお金が全てだとお思いですか?」
「ああ、そう思うよ。お金、地位、ブランド。」
「お金では真実の愛は買えない!幸せ?それで幸せなんてない。」
「貧乏人の意見だね。決していい服着てないし。」
「愛はお金からははかれない。」

和也は里菜に甘いキスをして、

「里菜はいい女だ。あなたには里菜の価値をわからない悲しい男だ。」

ちゅっ。くちゅっ。

「和也…。」
「おめでたい人だね。その古そうなネックレス。」

和也はいらっとして、

「…このネックレスの価値もわからないのですね。親から与えられた愛のしるし。珍しく高価なものだよ。水晶で出来ている。私が負ったものを少しでも放つように。これは特注品の一点ものでね。なかなか出回ってないのですよ。あ、忘れてました。私はこういう者です。」

名刺を取り出し、渡す。

「和也…。」

男は見る。男は青ざめる。

゛〇〇株式会社、専務取締役、平川和也゛

「見てわかるようですね。そこの会社の社長の名前は平川ナオキ。わかりますか?私の父親です。」
「…その会社のご子息は確か…スキ…。」
「弟ですか?そうですよ。弟は母親似で、私は父親似ですから。弟はいい弟です。思いやりがあって、あなたとは違います。名刺返して下さい。これは大切なものですから。」

里菜は、

「和也、どういう事なの!?」

和也は男から名刺を返してもらい、

「里菜、行こう?お金しか頭にない悲しい男なんて嫌でしょう?」
「和也、答えて!」

和也は、里菜に、甘く、とろけるようなキスをして、

「後で話します。」
「今、ここで話して!」
「里菜姫、愛してる。」

和也は里菜をお姫様抱っこをして、

「お姫様。」

歩く。

「和也、下ろして、
何か話しなさい、和也ぁ!!」



車。

「和也、名刺を見せて。」
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