君へ





でもね、

少しだけ期待してる。


その期待に
断わられることが

どんくらい怖くて

辛いか

一番知っているのは
あたしなのに…。



「あおい!!


いい加減にしなさい!!」



階段のしたから

お母さんの声が響く。



仕方ないから

おきなくちゃ。



「はあ…ぃ」




ふとんからでて

鏡を見た。




まだ

何も知らない

12才の北浦あおい。




静かに前髪を


ピンで止めた。








「おはよう…」


「起きるの遅いよ


早く食べて」



食卓の上には


目玉焼きとご飯。



少ない。

いつも思う。



たまに味噌汁でたりするけど、


そんなもん。


菓子パンは高級。




いただきます。



声に出さないで


呟いた。









「これあおいの制服だよ

着なさいー 」



紺のブレザーと


紺のプリーツスカート。


中には灰色のベスト。


あとそれと棒タイ。




地味としか思わなかった




この日のあたし。





< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop