君へ
でもね、
少しだけ期待してる。
その期待に
断わられることが
どんくらい怖くて
辛いか
一番知っているのは
あたしなのに…。
「あおい!!
いい加減にしなさい!!」
階段のしたから
お母さんの声が響く。
仕方ないから
おきなくちゃ。
「はあ…ぃ」
ふとんからでて
鏡を見た。
まだ
何も知らない
12才の北浦あおい。
静かに前髪を
ピンで止めた。
「おはよう…」
「起きるの遅いよ
早く食べて」
食卓の上には
目玉焼きとご飯。
少ない。
いつも思う。
たまに味噌汁でたりするけど、
そんなもん。
菓子パンは高級。
いただきます。
声に出さないで
呟いた。
「これあおいの制服だよ
着なさいー 」
紺のブレザーと
紺のプリーツスカート。
中には灰色のベスト。
あとそれと棒タイ。
地味としか思わなかった
この日のあたし。