君へ



あたしは元々スカートが嫌いだし


ブラウスの第一ボタンをとめるのも嫌いだ。



制服は生徒の身なりを

きちんとするためにあるから
あたしは制服が嫌い。



何を着たって

あたしらの中身が変わっちゃうわけじゃないのに。


全部を自由にして


そのなかで荒れるひとがでて社会に負けても

それは自分の問題なんだよ。


これから生きてく過程で大切なのは

自立


なんじゃないの?



そんな矛盾が嫌いだよ。









「あおい!!


車だすから玄関にいってて」



「あ うん」




新品の白いくつをはいた。


鍵をみぎにまわした。

ドアがいつもより重く感じたのは

あたしだけかなあ…






空は青くて透き通ってて、

桜の花びらが舞っている。

木漏れ日がまぶしくて目を細める。



楽しみ。
不安。


ありがちな言葉かもしれないけど

ほかにぴんとくりる言葉が見つからない。


ブーッ…

「早く乗りな」


「うん…」



車のシートに座ってベルトをしたら

何か変な気分になってきた。



…つまり、

緊張してきた。




たかが入学式で緊張なんてバカみたい。


違う。

あたしが緊張してんのは
入学式じゃなくて

クラス替えだよ。




学校が近づくたび、

みたことない景色がふえるたび、

脈拍数が増えてる気がした。





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