何度でも Lovin' you!~season 1~



店の中は薄暗く、しんと静まりかえっていて、人の気配が感じられなかった。





店の中心にある小さなステージに置かれたグランドピアノに、スポットライトが当てられ、そこだけが浮き上がっているように見えた。


ここには数えるほどしか来たことがないけれど、ピアノなんてなかったような気がする。


それにしても、今ここにいるのは私と勇輝のふたりだけ。


どうしよう…


何だか間が持たない…。


そんなことを思いながら、店内を見回していると…


ポロローン♪


ピアノの音に振り返ると、勇輝がピアノの前に座って、弾き始めた。


心の中にまで沁み込んでいくような優しい音色。


ピアノを弾いている時の勇輝は、かっこいいというより綺麗だ。


女の私でも嫉妬しそうなくらいに。




< 361 / 375 >

この作品をシェア

pagetop