盲目の天使
リリティスの言葉に、カルレインは満足そうな笑みを浮かべた。
回転の速い王女だな。
意外に度胸もある。
「保証はないな。だが、お前が拒否すれば、カナン国に火を放ち、焼き尽くす。
俺が嫌なら、カナン国と共に滅びの道を歩むがいい」
一拍おいた後、リリティスは、ベッドから降りて、ひざまずいた。
「お言葉に従います。どうぞカナンに、生きる道をお与えください」
拒否などできるわけがなかった。
自分が生まれ、育った国。
小さいけれど、水と緑の豊かな国だ。
そして自分は、そのカナン国の第一王女。
両親が死んで、叔父が国王の位にあるとはいえ、
自分が王女であることに変わりはない。
カナンが炎上するくらいなら、自分が奴隷になるほうが、ずっとましに違いなかった。