盲目の天使
リリティスは、両手を組み、祈るようにうつむいていた。
泣いてはだめ!
泣いたら、カルレイン様のご機嫌を損なうかもしれない!
言い聞かせれば、言い聞かせるほど、どうしようもなく胸が苦しくなり、リリティスの涙が、床に零れ落ちた。
「泣いているのか?」
カルレインの声は、さっきと違い、いくぶんやわらかく聞こえる。
「い、いいえ。これは、あの、カルレイン様の奴隷になるのが嬉しくて・・」
「奴隷だと?」
「はい」
「いつ俺が奴隷の話などした?」
おかしな娘だ。
奴隷などと、そんな話をした覚えはまるでないぞ。
カルレインは、目の前で小さくなっている少女に興味を持った。
決断力と度胸のある、意思の強い王女だと思ったのに・・・、
涙?