盲目の天使
「だがな、ソレイユ。私にはもう一人息子がおるぞ。長子のカルレインが」
プロンは、自分の息子たち--特にカルレインを嫌っていた。
はっきりとした理由があるわけではない。
強いて言うなら、時折見せる自信のある態度が、鼻について仕方なかった。
51になる自分も、まだまだ現役だという自信もあり、当分王位を降りる気はない。
しかし、王妃ソレイユをはじめ、回りの側近たちも、
国が割れるのを防ぐために早く跡継ぎを決めるべきだと、
毎回のようにプロンに進言してくる。
カルレインを支持する者には、アルシオンを盾に、
アルシオンを支持する者には、カルレインを盾に--、
プロンは跡継ぎの問題を、のらりくらりとかわしていた。
王のいつもの言葉を聞き、ノルバス王妃であるソレイユは、
妖艶に微笑むと、プロンの肩に手を置いてねだるような仕草を見せる。