盲目の天使

「だがな、ソレイユ。私にはもう一人息子がおるぞ。長子のカルレインが」


プロンは、自分の息子たち--特にカルレインを嫌っていた。

はっきりとした理由があるわけではない。

強いて言うなら、時折見せる自信のある態度が、鼻について仕方なかった。


51になる自分も、まだまだ現役だという自信もあり、当分王位を降りる気はない。

しかし、王妃ソレイユをはじめ、回りの側近たちも、

国が割れるのを防ぐために早く跡継ぎを決めるべきだと、

毎回のようにプロンに進言してくる。


カルレインを支持する者には、アルシオンを盾に、

アルシオンを支持する者には、カルレインを盾に--、


プロンは跡継ぎの問題を、のらりくらりとかわしていた。


王のいつもの言葉を聞き、ノルバス王妃であるソレイユは、

妖艶に微笑むと、プロンの肩に手を置いてねだるような仕草を見せる。












< 120 / 486 >

この作品をシェア

pagetop