盲目の天使

「あぁ、とても素敵な緑の匂いがするわ」


リリティスは、胸いっぱいに空気を吸い込むと、自分の故郷を思い出した。


「ここは、カルレイン様のお母上が、生前とてもお好きだった場所でございます」



カルレイン様のお母様が・・・。



「きっと、とてもおやさしい方だったのでしょうね」


「はい。とても美しく、それはおやさしい方でした」


オルメの声が少し沈んで聞こえる。


「なぜ、お亡くなりに?」


「カルレイン様の兄弟を身ごもられて・・・難産でございました」


オルメは、くすん、と鼻をすすった。


「まぁ、それは・・・辛いことですね」




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