盲目の天使
「カルレイン様は、お母上と同時に、ご兄弟も失われたのです」
いつも気丈なオルメの声が、震えているのがわかる。
話を聞いていたルシルの目にも、うっすらと涙が浮かぶ。
「申し訳ございません。せっかくの気晴らしが・・・」
そう言って軽く膝を折ったオルメの体を、
リリティスはふんわりと抱きしめた。
「オルメ。辛いことを思い出させてごめんなさいね。
これからは、時々この庭でお茶をしましょう。
楽しかった思い出をたくさん聞かせてくださいな。
きっと、亡くなったカルレイン様のお母様もお喜びになるわ」
「リリティス様・・・。はい、ぜひお願いいたします」
オルメの声が、元気を取り戻したように思えて、
リリティスはほっとした。