盲目の天使

「カルレイン様は、今頃どうなさっているんでしょうか?」


リリティスの気持ちを知ってか、知らずか、ルシルはカルレインの話題をふる。


「本当に・・。

ルシルは、城の中で何か噂を聞きませんか?」


自分は、知らないことがあまりにも多い。

侍女として仕えているルシルのほうが、よほど物知りだ。


しかし、ルシルの返答を待たずに、失礼します、と言って、オルメが部屋に入ってきた。


「オルメ様、そんなに急いでどうなさったのですか?」


足早に入室するオルメに、ルシルが声をかける。


ふわふわと、浮き立つような感じは、およそオルメに似つかわしくない。


首を傾げるルシルに、オルメは、奇妙なくらいにっこりと笑うと、

リリティスの腰掛けている椅子の前に、ひざまずいた。




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