盲目の天使
「この手紙は、カルレイン様の鷲が城へ届けたものなのです。
さきほど、鷹匠から受け取ってまいりました。
鷲は、遠い距離でもすごい速さで飛べるそうでございますから、
もしかしたら、数時間前に摘んだばかりかもしれませんよ」
まるで、自分の手柄のような、自慢げな、オルメの堂々たる話し振り。
リリティスは、掌の中にある、小さな花を握りつぶさないようにしながら、
そっと、胸に抱きかかえた。
カルレイン様・・・。
花の香りから、カルレインのやさしさを感じて
リリティスは、心の中に明かりが灯ったような気がした。
手紙が届くということは、カルレインは、元気でいるらしい。
そして、それ以上に・・・。
忘れられては、いない。
恋をすると、こんな風に、誰もが自分本位になってしまうのか。
カルレインの無事を、ただただ祈っていたはずなのに、
無事だとわかったとたん、現金にも、次の願いを祈ってしまう。
「よかったですね、リリティス様。カルレイン様はご無事です。
それで、オルメ様。
お手紙には、なんと書いてあるのですか?」
そうだわ。
何か、私の事を書いてくださっていないかしら。
聞きたいような、聞きたくないような、不思議な気持ち。