盲目の天使

手紙を読みながら、オルメは照れて、だんだん言いよどんできた。


これが若さというものなのか。

胸に秘めた情熱を、惜しげもなく陽のもとにさらけだし、

おそらくは、そのことを恥じるどころか、胸を張って自慢するのだろう。

遠い昔に、自分がどこかへしまいこんでしまったもの。


オルメが、自分の赤くなる顔を隠すようにして、なんとか、手紙を読み終わると、

ルシルは、なんて素敵なお手紙でしょう、と言って、目をキラキラ輝かせ、

当のリリティスは、耳まで真っ赤になって、両手で顔を覆ってしまった。



カルレイン様ったら!

私が、一人では手紙を読めないことを、わかってらっしゃるくせに!



はにかむリリティスの様子を見て、

オルメは、カルレインを応援したい気持ちが、ごく自然に芽生えた。


盲目のリリティスが王子妃となれば、困難が多いに違いないが、

若い二人ならば、乗り越えていけるかもしれない。


もしも、自分にも、何か助力ができるのであれば・・・。


「お返事を書きますか?リリティス様」


「え?返事など書いて、手紙を送れるのですか?」


驚くリリティスに、できますよ、と、オルメは笑って答えた。



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