盲目の天使
いつの間にやら、湿っぽい空気は、どこかへと消えうせ、
晴れ晴れとした空の下にいるような、心地よい雰囲気になっている。
「王がお返事を書いて、持たせるそうです。
それまでに鷹匠に渡せば、一緒に送ってもらえますよ」
「書きます!どうか、代筆してくださいませ!!」
オルメが言い終わるか終わらないかのうちに、リリティスは、反射的に大きな声で返事をした。
カルレインに、手紙を書く。
生まれて初めての手紙。
翼を広げて、大空を飛んでいる気分だ。
リリティスは、今すぐに窓を開けて、この喜びを、皆に伝えたいほどだった。
オルメは、リリティスの答えがはじめからわかっていたのか、
すでに紙を用意していて、すぐさま代筆を始めた。
『お早くお帰りくださいね、カルレイン様。
リリティス様は、あなたがいらっしゃらないと、しおれた花のようですよ。
オルメ』
リリティスの手紙の最後に、オルメはそっと言葉を付け足した。