盲目の天使
リリティスは、右手で杖をついて、部屋を出た。
左手はルシルが取って、足元に気を配る。
鷹匠のいる鷲小屋は、城の裏手にあり、崖の上の森に最も近いところにある。
中には、止まり木が数本と、わらが敷き詰めてあり、
獣舎の独特な匂いが充満していて、中に入ったとたん、オルメは思わず顔をしかめた。
「リリティス様、こちらがカルレイン様の鷲を調教しているオークリーです」
カルレイン以外に高貴な身分のものなど、ついぞこの部屋を訪れることはない。
顔に深いしわを刻んだオークリーは、じろりとリリティスを見て、すぐに背を向けた。
当然、膝をおったりはしない。
なんだか、頑固そうなおじいさんね。
顔にも体にも、かなりの数の傷があり、
ルシルはそれが、鷲にやられたものだろうと思った。