盲目の天使

「初めまして。オークリー様。

私はリリティスです。

このたびは、カルレイン様のお手紙を届けてくださって、どうもありがとうございます」


リリティスは、オークリーに近寄って、膝をおった。


「リ、リリティス様!」


身分の高い者が、身分の低い者にたいして、膝をおるなどありえないことだ。

たとえ、リリティスが捕虜の身分であっても、鷹匠との間には歴然とした身分の差がある。

オルメは近寄って、リリティスを抱き起こそうとした。


「俺は、カルレイン様にジルの面倒をみさせてもらっているだけだ。

カルレイン様が出発なさるときに、手紙を書くから届けてほしいと言われたんで、

その通りにしただけだ」


オークリーは、リリティスの態度に、一瞬めんくらったが、

すぐにぶっきらぼうに、そう告げた。






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