盲目の天使
これで、もう二度と、自分に話しかけようなどと、思わなくなるだろう。
お姫様の気まぐれに、わざわざ付き合ってやる暇はない。
しかし、オークリーの予想は、すぐに、はずれてしまった。
「それでも、とてもうれしかったわ。ありがとうございます」
リリティスが、にっこりと微笑むと、オークリーは無遠慮にリリティスを見下ろした。
オルメとルシルが、リリティスを立ち上がらせて、衣の裾をはらう。
それを見ていたオークリーが、ぼそっとつぶやいた。
「ここは、そんなひらひらした格好で来るところじゃねぇ。
用が済んだらさっさと帰んな」
「オークリー!その言い方は!」
オルメがオークリーに声を荒げると、それをさえぎるように、リリティスが声を発した。
「ごめんなさい。お仕事の邪魔でしたね」
静かだが、凛とした声音だった。