盲目の天使
リリティスと同じで、鷲などに縁がないルシルは、
彼女が、どうかしてしまったのではないかと、心配になる。
「鷲に礼を言うなんて、無理に決まってるじゃあ、ありませんか!
そんな恐ろしいこと、どうかおやめください」
「でも、カルレイン様の鷲よ。
私の手紙を届けてもらうのよ!」
リリティスの声は、戸惑うどころか、先ほどよりも弾んで聞こえる。
「しかし・・・」
「あんたがやりたいなら、そうすればいい」
二人のやり取りを見ていたオークリーが、しゃがれた声で口を挟んだ。
一度怖い目にあえば、こんな口をきくこともあるまい。
だが、ひょっとしたら・・・。
過剰な期待を抱くと、後が面倒だ。
オークリーは、あくまでも、たんたんと、許可を出した。
「ありがとう!!」
リリティスの陽気な声とは、うらはらに、オルメは眉間にしわを寄せ、ルシルは震えだした。