盲目の天使
緊張し続けたまま、不眠不休の作業で、若いカルレインの体も、今にも悲鳴を上げそうだ。
「カルレイン様、どうか今日はお休みください」
部下のマーズレンが、心配そうにカルレインの顔を覗きこんだ。
どうも、普段より、青白い顔をしているのが気にかかる。
「いや、皆頑張っているのだ。俺ももう少し・・」
立ち上がりかけて、軽いめまいを覚える。
「やはり、お休みください。
皆交代で休んでいるのに、カルレイン様はほとんど眠ってらっしゃいません」
マーズレンの言うことは本当だった。
カルレインは、ほんのわずかな仮眠を取る以外は、ほとんど現場で指揮を取っていた。
早くなんとかしなくては・・・。
予想以上の被害の大きさに、カルレインは、日に日に焦りを強くしていた。
と、キュルルという、聞き覚えのある声が、頭上高くから聞こえてきた。
「ジル!」