盲目の天使

緊張し続けたまま、不眠不休の作業で、若いカルレインの体も、今にも悲鳴を上げそうだ。


「カルレイン様、どうか今日はお休みください」


部下のマーズレンが、心配そうにカルレインの顔を覗きこんだ。

どうも、普段より、青白い顔をしているのが気にかかる。


「いや、皆頑張っているのだ。俺ももう少し・・」


立ち上がりかけて、軽いめまいを覚える。


「やはり、お休みください。

皆交代で休んでいるのに、カルレイン様はほとんど眠ってらっしゃいません」


マーズレンの言うことは本当だった。

カルレインは、ほんのわずかな仮眠を取る以外は、ほとんど現場で指揮を取っていた。



早くなんとかしなくては・・・。



予想以上の被害の大きさに、カルレインは、日に日に焦りを強くしていた。

と、キュルルという、聞き覚えのある声が、頭上高くから聞こえてきた。


「ジル!」





< 173 / 486 >

この作品をシェア

pagetop