盲目の天使
『カルレイン様へ。
大変なお仕事でお疲れなのに、わざわざお手紙をくださり、ありがとうございます。
とても嬉しかったです。
私も早くカルレイン様にお会いしたいです。
でも、人は焦ると良くない結果を生みます。
どうかよく眠り、よく召し上がって、お体を大事になさってください。
お会いできる日を、心待ちにしております。
リリティス』
これは、オルメの字だな。
代筆したのか?
紙を最後まで広げると、オルメの言葉も書き足してある。
カルレインは、飛び上がって叫びだしたい衝動に駆られた。
あれだけ感じていた焦りが、瞬く間にとけて、痕跡すら残らなくなる。
「マーズレン。私は少し眠る。コウガイ将軍に、後を頼むと伝えてくれ」
「はい!」
空を見上げると、大きな月が中天にさしかかり、カルレインの足元を照らしていた。
気高く美しい月は、まるでリリティスそっくりに見える。
簡易の寝台に横になると、カルレインは、あっという間に夢の中に落ちた。