盲目の天使
「リリティス様!リリティス様~!!」
ルシルが中庭に声を上げて走って来る。
そこは、カルレインの母が愛したという美しい中庭で、
リリティスは、ここで午後の休憩を取るのが日課になっていた。
「なんですか、騒々しい。
もう少し落ち着きなさい、ルシル」
オルメは侍女頭らしく、年若いルシルを注意した。
「申し訳ありません。はぁっ、はぁ」
ルシルは息を切らせて、頭を下げるとリリティスに向き直った。