盲目の天使

「どうぞ」


ルシルは新しくアルシオンの分の飲み物をいれると、目の前に置いた。


「ありがとう、ルシル。

それにしても、ずいぶんと楽しそうな笑い声が聞こえていたね。

何かあったの?」


アルシオンが、コップに口をつけて穏やかに微笑むと、さわやかな風が吹いて、木々が揺れる。


「えぇ、実は」


「リ、リリティス様!」


ルシルは、自分の話題になるのではと、はらはらしてとっさに口を挟んだ。

リリティスは、その気持ちを察して、話題を変えた。


「もうすぐカルレイン様がお帰りになるというので」




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