盲目の天使
ルシルは、リリティスの配慮にほっと胸をなでおろした。
オルメは、二人にお茶菓子を用意しようと下がり、ルシルもお茶のおかわりを用意するためにいなくなった。
風が強くなり、木々がざわざわと騒がしく震える。
アルシオンはリリティスの口からカルレインの名前が出たことが、あまり嬉しくなかった。
また、兄上か・・・。
アルシオンは、正妃の息子ではあったが、カルレインよりも7つ年下だった。
周りから--特に母であるソレイユからは、決してカルレインに劣ってはならないと厳しく育てられた。
特にアルシオンに才能がないわけではなかったが、
それ以上に、カルレインの才能が豊かであったため、周囲から見れば見劣りがした。
しかも、元来、おとなしい性格のアルシオンは、剣や弓があまり好きではなく、
周りからは、あれでプロン王の後が継げるのかと、疑問視する声があった。