盲目の天使
「リリティスも、私より兄が良いのですか?」
気づくと声に出していて、アルシオンはハッと口元を押さえた。
「すみません。おかしなことを言いました。忘れてください」
カナン国の征圧、タザトットの復興活動など、最近のカルレインはますます際立った手柄を上げていた。
昨夜も王妃である母に、自分のふがいなさを責められて落ち込んでいたアルシオンは、
リリティスの笑顔を見て癒されたかった。
・・馬鹿なことを言った。
アルシオンは、自分のおろかさをのろった。