盲目の天使

「あ、兄上!」


「何をしていると聞いてるんだ!!」


カルレインは、リリティスの体に回されているアルシオンの手を、

はがすように振り払った。


カルレインに、敵のようににらみつけられて、

アルシオンは一歩も動くことができない。


「カルレイン様・・」



誤解されたのだわ。

あやまらなくては・・・。



「あの、私は・・」


「いいから、来い!」


カルレインは、リリティスの腕をとると、引きずるようにして部屋へと連れて行く。


残されたリリティスの杖が、風を受けて、

一人さまようように、カタカタと音を立てながら転がっていった--。








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