盲目の天使
部屋まで連れてこられると、リリティスは乱暴に床に投げ出された。
「きゃっ!!」
床に手を着いて、上半身を起こすと、カルレインに力いっぱい顎を掴まれる。
「何をしていた」
凄みのある声で、カルレインは、リリティスを見下ろした。
その瞳は、激しい怒りに満ち、今にもリリティスを焼き尽くさんばかりだ。
「誤解です。カルレイン様!」
嫉妬にかられたカルレインの耳には、栓がされているのか。
それとも、栓がされているのは、心のほうなのだろうか。
全てのものを拒絶する勢いで、カルレインは、悲痛なリリティスの声に耳を傾けようとはしなかった。
「誤解だと?抱き合っていたのが俺の見間違いだとでも言うつもりか?」
「そうではありません。シオン様は、今日少し落ち込んでいらっしゃったのです」
誤解を解くために訴えたリリティスの言葉が、さらに悲劇を生む羽目になった。