盲目の天使
カルレインは、体中の力が抜けていくような気がした。
その時、
ドンドンと扉を叩く音がして、
マーズレンが入ってきた。
「やはりここにいらっしゃった!
カルレイン様、王への謁見を後回しにして、
リリティス様の部屋を訪れるのは困ります!
まずは、王へご報告を!」
カルレインを連れて行こうと必死なマーズレンは、主の様子がおかしいことに、少しも気づかない。
「マーズレン。
オルメに命じて、リリティスを部屋から一歩も出すな。
侍女以外の誰にも会わせないように伝えろ」
氷のように冷ややかな声。
「え?」
「いいな」
予想もしない、カルレインの命令に、マーズレンは思わず聞き返したが、
カルレインはそれを無視して、振り向くことなく部屋を後にした。