盲目の天使
床に伏したまま、
リリティスはカルレインの去っていく足音を、
夢の中の出来事のように、実感なく聞いていた。
カルレイン様・・・。
さっきまで、あんなにも想い焦がれていたカルレインにようやく会えたというのに、
リリティスの心は、冷水を浴びせられたように、寒かった。
泣きたくはなかった。
泣けばどうにかなるものでないことも良く分かっていた。
カルレインの怒りは、自分が招いたものだ。
自分が、誤解されるようなことをしていたのだ。
自業自得。泣くのは、間違っている・・。
それでも、
カルレインのいなくなった部屋は、あまりに静かで・・・。
堪えきれずに、リリティスは嗚咽を漏らした。