盲目の天使

リリティスの頬に涙の跡を見つけて、カルレインは指でそっと拭った。



・・俺が、泣かせたのか。



リリティスが幸せなら、自分が身を引けばよい。


アルシオンは、優しい性格だから、リリティスを酷い目にあわせたりはしないだろう。


それは、忙しい時間の中で、必死に考え抜いた、カルレインの決断だった。


カルレインは、リリティスの銀糸にそっと手をやり、ゆっくりと髪を梳いた。

そのまま髪を一房すくうと、口付けるように唇を寄せる。





・・・さようなら、



リリティス。










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