盲目の天使
キュルルル~、キュルルル~。
聞いたことのない、奇妙な獣の鳴き声に、少女は、いっそう不安な気持ちになった。
「誰か!誰かいないの?」
もう何度呼んだか知れない。
今朝は何かがおかしい。
どんなに声を張り上げても、傍に控えているはずの侍女が、誰一人としてやってこないのだ。
いつもなら、とうに朝の支度を手伝いにやってきている時刻なのに・・。
少女は、ため息をついて、ベッドから降りた。
ベッドの脇に置いてある杖に手を伸ばすと、うまくつかめず、転がってしまった。
少女は、ひざまずいて、床に手をつくと、撫でるような仕草をする。
・・あ、あった!
目指す杖に手が触れたとき、ふいに、人の気配を感じた。