盲目の天使



・・このままでは、リリティス様が病気になってしまうわ。



リリティスが何も話さないので、昨日何があったのか、

ルシルもオルメも、正確にはわからなかった。

ただ、断片的に、アルシオンが関係しているのだろうということは推測できた。



カルレイン様に、きちんと説明していただかなくては、納得できない。



リリティスは部屋から出ることも、人と会うことも禁じられ、

完全に幽閉されたような状態だ。


カルレインの乳母であるオルメは、リリティスに同情はするものの、仕えているのは、カルレインだ。


ここは、自分がなんとかして、リリティスを助けなくてはならないと、ルシルは考えていた。



待っててくださいね、リリティス様。



本音を言えば、カルレインが、恐ろしくないわけではない。

ここは、カルレインの国だし、自分は、カナン出身の、ただの侍女だ。

しかも、通りすがりに声をかけられた、

本来なら、侍女にもなれないような身分の人間。


しかし、どう考えても、リリティスに非はないように思える。



よおし!頑張るわよ!!



ルシルは、拳を天高く突き上げた。


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