盲目の天使
「兄上!お待ちください、兄上!」
「なんだ、アルシオン」
会いたくない人間にあってしまったと、カルレインは心の中で舌打ちした。
リリティスのために身を引こうと決めたものの、
そんなにすぐに気持ちを切り替えられるものではない。
もう少し--、時間がほしかった。
しかし、カルレインのそんな思いなどとうてい知らず、
アルシオンはカルレインに怒りをぶつけた。
「兄上は、リリティスを物扱いするおつもりですか!」
「・・・なんだと?」
カルレインは、眉を跳ね上げ、凄みのある声でアルシオンをにらみつけた。
この俺が、リリティスを物扱い、だと?