盲目の天使

あまりの迫力に、一瞬アルシオンは言葉に詰まった。

だが、リリティスのために、どうしてもカルレインに文句を言わなくては気がすまなかった。


「先ほど、リリティスに会いに行きました。

が、会えませんでした。

兄上が、誰にも会わせず部屋から出すなと命令したそうではありませんか」


「それがどうした」


「兄上は、リリティスを捕虜として幽閉するおつもりなのでしょう。

彼女を褒美としてほしいと言ったり、部屋に閉じ込めたり、

なぜ彼女を物扱いするのです。



私は、彼女を、あい・・・」



「黙れっ!!!」


カルレインの激しい剣幕に、アルシオンは“愛してる”という言葉を、最後まで言えなかった。


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