盲目の天使
「あれは、俺のものだ。閉じ込めようがどうしようが、お前には関係ない」
そんなつもりはなかったのに、アルシオンの言葉にたきつけられて、
カルレインは、強い口調で言い放った。
・・リリティスを愛してるのは、
この、俺だっ!!
再びアルシオンへの強い嫉妬が、カルレインの心を占める。
そばで聞いていたマーズレンは、
昨日からカルレインの機嫌が悪い理由が、やっと分かった。
そうか。
ルシルが、リリティス様の様子がおかしいと言っていたのも、これでわかった。
もう一度、ルシルに会って話をしてみようと、マーズレンは思った。
どこかで、おかしな糸が絡まってしまったに違いない。
二人の親密な様子を目の当たりにしていたマーズレンは、
このまま、二人の仲が壊れてしまうのは、あまりにもったいない気がした。
リリティスは、簡単には、他人に心を開かないカルレインが、
初めて自分の領域に入る事を許した、稀有な女性なのだから。