盲目の天使
カルレインがそう言うと、リリティスは泣くのを我慢しているように震える声で、
一語一語区切るように丁寧に言葉をつむいだ。
「私は、
カルレイン様をお慕いしています。
他の誰かではなく
カルレイン様ただお一人を
お慕いしています。
嘘ではありません。
シオン様のことは誤解なのです。
どうか、私を信じてください」
そこまで言うと、リリティスの瞳から、透明な一粒のしずくが滴り落ちた。
・・俺は、なんて愚かなんだ。
目が見えていないのは、自分の方ではないか。
カルレインは、己の頭を鈍器で叩き割りたい気分になった。
「リリティス。
俺もお前を愛している。疑って悪かった。許せ」
カルレインは、リリティスを、きつく抱きしめた。
心の中の重石が取れたように、爽快な気分だった。
こんなにも、心弾む自分を、数ヶ月前の自分が見たら、馬鹿にされるに違いない。
今まで散々、他人に吐いてきた言葉。
女などに、骨抜きにされて、と。