盲目の天使

リリティスの涙に濡れたまつげに、やさしく唇をつけると、彼女の細い肩が、びくりと震える。

そのまま、カルレインの唇が、リリティスの唇に重なろうとした瞬間、

部屋の中に、太陽に負けないくらいの、明るい声が響いた。


「おはようございます!良い朝ですね」


日差しが入るよう、めいいっぱい窓を開け放し、

ルシルは、カルレインなど見えていないかのように、振舞った。


「ルシル・・・」


寝台から身を起こし、カルレインは、ため息をついた。


どうして、みんなで、俺の幸せを邪魔するんだ。

妬んでいるんじゃないのか?


カルレインの咎めるような視線も気にせず、ルシルは、にこりと微笑んだ。


「リリティス様は、お着替えがあります。お話はその後に。

カルレイン様は、部屋の外でお待ちください」


わざとオルメの口調を真似て、機械的に言ってみた。



< 223 / 486 >

この作品をシェア

pagetop