盲目の天使
リリティスの涙に濡れたまつげに、やさしく唇をつけると、彼女の細い肩が、びくりと震える。
そのまま、カルレインの唇が、リリティスの唇に重なろうとした瞬間、
部屋の中に、太陽に負けないくらいの、明るい声が響いた。
「おはようございます!良い朝ですね」
日差しが入るよう、めいいっぱい窓を開け放し、
ルシルは、カルレインなど見えていないかのように、振舞った。
「ルシル・・・」
寝台から身を起こし、カルレインは、ため息をついた。
どうして、みんなで、俺の幸せを邪魔するんだ。
妬んでいるんじゃないのか?
カルレインの咎めるような視線も気にせず、ルシルは、にこりと微笑んだ。
「リリティス様は、お着替えがあります。お話はその後に。
カルレイン様は、部屋の外でお待ちください」
わざとオルメの口調を真似て、機械的に言ってみた。