盲目の天使

ルシルの提案に、リリティスは、飛び上がったりはしない。

自分の身分は、きちんとわきまえなくては、カルレインに迷惑になる。


「それは無理よ。

ルシルはマーズレンに頼んで、城下を見てくるといいわ。


ずっと私の世話をしてばかりで、お休みもなかったもの。

その日は、お休みをもらえるように、オルメに頼んでみましょう」


リリティスは、ルシルだけでなく、オルメにも休みをあげたかった。

他の侍女は、交代で休みを取っているものの、二人はほとんど休みもなく、

自分の身の回りの世話に明け暮れていた。


「リリティス様は、我がままを言わなすぎます。

もっとお姫様らしく、わがままを言ってかまわないのですよ」



・・あなたたちが傍にいてくれるだけで、私には充分、身に余ることだわ。



ルシルの言葉が嬉しくて、リリティスは、くすくすと笑った。




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