盲目の天使

説明は、カルレイン様がなさるでしょう、とだけ言って、

オルメは、手際よくリリティスの着替えをさせ、衣装のあちらこちらを、つめ始めた。


「入るぞ!リリティス」


カルレインの後ろを、相変わらず、お待ちください!と侍女が慌てて追いかけている。



・・カルレイン様ったら、また取次ぎを待たずに入ってらっしゃったのね。



リリティスは、オルメに小言を言われるカルレインを想像して、ふふ、と笑った。


リリティスの予想通り、オルメはカルレインを呼び止めると、小言を言い始めた。


怒鳴ったりはしないが、オルメは、正論で、ちくちくとカルレインを攻略していく。

なんとか、言い訳を見繕うものの、カルレインは、防戦一方だ。


「カルレイン様も、懲りませんねぇ」


ルシルは、リリティスのドレスを手直ししながら、

まだ動かないでくださいね、と声をかけた。



・・カルレイン様って、リリティス様のこととなると、まるで駄々っ子のようよね。



ふと、リリティスを見上げると、彼女の唇がわずかに開いて、口角がほんの少し持ち上がっている。



・・まぁ、いいか。リリティス様が、幸せそうだから。



先の事を考えると、不安な要素がないでもなかったが、

ルシルは、あまり深くは考えなかった。

< 234 / 486 >

この作品をシェア

pagetop