盲目の天使
説明は、カルレイン様がなさるでしょう、とだけ言って、
オルメは、手際よくリリティスの着替えをさせ、衣装のあちらこちらを、つめ始めた。
「入るぞ!リリティス」
カルレインの後ろを、相変わらず、お待ちください!と侍女が慌てて追いかけている。
・・カルレイン様ったら、また取次ぎを待たずに入ってらっしゃったのね。
リリティスは、オルメに小言を言われるカルレインを想像して、ふふ、と笑った。
リリティスの予想通り、オルメはカルレインを呼び止めると、小言を言い始めた。
怒鳴ったりはしないが、オルメは、正論で、ちくちくとカルレインを攻略していく。
なんとか、言い訳を見繕うものの、カルレインは、防戦一方だ。
「カルレイン様も、懲りませんねぇ」
ルシルは、リリティスのドレスを手直ししながら、
まだ動かないでくださいね、と声をかけた。
・・カルレイン様って、リリティス様のこととなると、まるで駄々っ子のようよね。
ふと、リリティスを見上げると、彼女の唇がわずかに開いて、口角がほんの少し持ち上がっている。
・・まぁ、いいか。リリティス様が、幸せそうだから。
先の事を考えると、不安な要素がないでもなかったが、
ルシルは、あまり深くは考えなかった。