盲目の天使

「俺は、最初にお前を物扱いした。

だが今は、お前のことを心から愛している。


周りがなんといおうと、俺はただ純粋にお前がほしいだけだ。

政治的なかけひきなどは、一切なしでだ」


カルレインの言葉が、染み込むように、リリティスの耳を侵していく。


「・・・ありがとう、ございます。

・・カルレイン様」


何よりも嬉しい、カルレインのその言葉。

それは、間違いなく、彼の真実だろう。

だが・・・。


「カナン国のことは、俺が決して悪いようにしない。

もう一度国として成り立つのは難しいが、

民にたいして、奴隷のような扱いをすることだけは、絶対にない」


「はい。カルレイン様を信じます」


リリティスのはかなげな微笑が、カルレインの胸を締め付けた。






< 242 / 486 >

この作品をシェア

pagetop