盲目の天使
「俺は、最初にお前を物扱いした。
だが今は、お前のことを心から愛している。
周りがなんといおうと、俺はただ純粋にお前がほしいだけだ。
政治的なかけひきなどは、一切なしでだ」
カルレインの言葉が、染み込むように、リリティスの耳を侵していく。
「・・・ありがとう、ございます。
・・カルレイン様」
何よりも嬉しい、カルレインのその言葉。
それは、間違いなく、彼の真実だろう。
だが・・・。
「カナン国のことは、俺が決して悪いようにしない。
もう一度国として成り立つのは難しいが、
民にたいして、奴隷のような扱いをすることだけは、絶対にない」
「はい。カルレイン様を信じます」
リリティスのはかなげな微笑が、カルレインの胸を締め付けた。