盲目の天使

今までは、立っていれば、全て侍女がやってくれた。

それは、着替えだけでなく、

食事の世話や湯浴みにはじまり、

暑いといえば、扉を開けて風を通し、

寒いといえば、暖炉に火をいれてもらえた。



・・これからは、全て一人でやらなくてはいけないのね。

当たり前のように考えていたけど・・・なんて贅沢なことだったのかしら。



これから先のことを考えると、リリティスは不安でたまらなくなった。



叔父様や叔母様は、どうしていらっしゃるのかしら。

きっと、叔母様の国に亡命なさったのね。

好きにはなれなかったけれど、ご無事でいらっしゃいますように。



国王であった父が亡くなる前から、リリティスは叔父のことがあまり好きではなかった。

やさしい父と違い、叔父は、いつも人の悪口を言っては、権力を振りかざして、好き勝手をしていた。


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