盲目の天使
「すまない、マーズレン」
カルレインは、自分の乳兄弟が、自分と同様に苦しんでいることに気づいて、すぐさま反省した。
本当に、俺は、他人の痛みのわからぬ、愚か者だ。
とことん、支えられる側にしか、なれないらしい。
もう少し、支える側に回りたいと思っているのに。
カルレインは、天を仰いで、嘆息した。
リリティスが捕らえられてから、一つだけわかったことがある。
それは、彼女を支えているつもりが、実は、支えられていたのだということ。
リリティスの姿が見えなくなったとたん、自分はこんなにも動揺して、
余裕をなくしている。
そう、まるで、迷子の子供か、捨て犬のように。
それ以上考えたら、果てしなく泥沼になりそうだと思い、
カルレインは、頭を切り替えた。
リリティスが犯人だということは、絶対にありえない。
では、一体誰が、何の目的でプロンを毒殺しようとしたのか。
首飾りを売った行商人は、このあたりに住むものではなかった。
調べてみると、カルレインたちが町に出かけた数時間だけ店を出し、
あまり売れないなどといって、早々に店じまいしていたことが判明していた。
城下を探し回るものの、一向に手がかりになる者が見つからず、
カルレインは焦り始めていた。