盲目の天使
いつもそばにいたオルメもルシルも、ここにはおらず、
時々、食事や衣類などを運んでくる者がいる以外は、
一日中、誰とも会わず、会話することもなかった。
カルレイン様は、どうしていらっしゃるかしら。
強そうに見えても、心根の優しい、カルレインのことだ。
自分が、犯人になって、きっと心を痛めているに違いない。
それとも・・・。
こんな、自分のことなど、忘れてしまったろうか。
・・あぁ、カルレイン様の声が聞きたい。
いつまでこうしていれば良いのかすら、まったくわからず、
リリティスは、ただ自分の不幸を、嘆くことしかできなかった。
ここに来てから、リリティスは時間の感覚がなくなっていたが、
すでに、陽は沈み、空には星が瞬いている。
寝台に横になったリリティスは、階段を上る、誰かの足音を耳にした。