盲目の天使
ベッドのわきにかけてあった上着を、夜着の上にはおり、
なんとか体裁を整えると、リリティスは、王へ椅子を勧めた。
「今、誰かよんで、お茶を運ばせます」
リリティスは、用事があるときに鳴らす呼び鈴を鳴らそうと、手を伸ばした。
リリティスの本能が、王と二人きりでいないほうが良いと、しきりに訴えている。
しかし、王はリリティスの手を掴むと、
気を使う必要はない、と呼び鈴を取り上げてしまった。
別の場所に置かれてしまっては、リリティスが、それを見つけるのは難しい。
仕方なく、なるべく王と離れるようにして、椅子に腰掛けた。