盲目の天使
「誰?アリーなの?」
一番身近にいる侍女の名前を呼んでみたが、少女は、それが、アリーでないことを知っていた。
アリーならば、もっと遠くにいるときから、ばたばたと足音が聞こえるはずだからだ。
「だれなの・・?」
・・知らない気配だわ。
今まで感じたことのない、独特の気配に、思わず体が震える。
「リリティス王女か?」
小さいがよく通る低い声は、予想通り、少女--リリティスの知った声ではなかった。