盲目の天使
「マーズレン!状況を報告しろ!」
早足で歩くカルレインの一歩後ろを、マーズレンがぴたりとついて歩く。
「はい。城の中は、全て調べ終えました。
国王夫妻と息子は、やはりホウト国へ亡命したようです。
逃げ遅れた馬番が、
3日前に少数の護衛と共に、南の方へ出て行ったのを目撃したと」
「そうか」
「追っ手をかけますか?」
「いや、そちらは放っておけ。城の周辺はどうだ?」
「抵抗するものは、ほとんどおりません。
やはり、
カルレイン様がこの国に攻め込むという噂を流したのが、効果的だったようですね。
疾風の黒鷲(くろわし)と名高いカルレイン様に対抗しようとする者など、
そうそうおりますまい」