盲目の天使

「マーズレン!状況を報告しろ!」


早足で歩くカルレインの一歩後ろを、マーズレンがぴたりとついて歩く。


「はい。城の中は、全て調べ終えました。

国王夫妻と息子は、やはりホウト国へ亡命したようです。

逃げ遅れた馬番が、

3日前に少数の護衛と共に、南の方へ出て行ったのを目撃したと」


「そうか」


「追っ手をかけますか?」


「いや、そちらは放っておけ。城の周辺はどうだ?」


「抵抗するものは、ほとんどおりません。

やはり、

カルレイン様がこの国に攻め込むという噂を流したのが、効果的だったようですね。

疾風の黒鷲(くろわし)と名高いカルレイン様に対抗しようとする者など、

そうそうおりますまい」







< 30 / 486 >

この作品をシェア

pagetop