盲目の天使
マーズレンは、
自分の主が、あっさりとカナン国を制圧したことに、満足していた。
これで、父王も、カルレイン様を跡継ぎにと考えるに違いない。
カルレインは、長子であったが、母親の身分が低かったため、
弟のアルシオンを、次の国王にしようという勢力も多かった。
アルシオンの母親は、現ノルバス国王妃のため、
国王プロンは、誰が次代の国王になるかを明確にしていなかった。
「マーズレン!」
「はっ!」
歩みを止めたカルレインの後ろで、マーズレンは、姿勢を正す。
「侍女を見繕って来い。
なるべく若く、おとなしそうな娘がいいだろう」
「は?」