盲目の天使
こつこつと歩いてきた足音は、リリティスの前で、ぴたりと止まる。
「実は、私、王女に助けていただきたくて」
ソレイユは、すました声で、リリティスを見下ろした。
「助け、ですか?」
「ええ。
実は、今あなたのせいで、カルレイン王子が窮地に陥ってるのです」
「えっ?!
それは、どういうことですか?」
カルレインの名前に、リリティスの頭は、一気に覚醒した。
「あなたをかばって、自分が王を毒殺しようとしたと、名乗り出たのです」
「な、そんな馬鹿な!!」
リリティスは、その場に倒れこんだ。
あぁ、どうすればいいの?
このままでは、カルレイン様が、罪人として、処刑されてしまう!
振り落とされまいと、必死にすがりついている、人生という名の綱が、
嵐のような横風にさらされ、今にも切れ掛かっている。