盲目の天使

王妃の部屋の前で、カルレインは、いらいらしながら部屋の主を待っていた。


「誰じゃ!」


ソレイユは、部屋で祝杯をあげようと上機嫌で帰ってきたのに、

会いたくもない人物が、部屋の前に立っていたので、一瞬で不機嫌になった。


「母上。どちらにいらっしゃったのですか?」


カルレインの隣には、不安げな様子のアルシオンがいる。


「この私を、訪ねて来る時間ではないな。明日出直すがいい」


ソレイユは、冷たく言い放つと、自分の部屋へ入ろうとした。


「お待ちください。

ベリカムという商人のことで、お聞きしたいことがございます」


カルレインの言葉に、ソレイユは、ぴくりと反応した。



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