盲目の天使
まずい・・・。
ソレイユの額には、うっすらと汗がにじんでいた。
髪飾りに細工してある毒が見つかれば、カルレインに気づかれてしまう。
もしも、アルシオンが、購入したことが知られれば、
今度は、アルシオンに嫌疑がかかることも、ありえる。
なんとかして、あの髪飾りを始末しなくては。
リリティスの部屋は、ひっくり返して調べられたが、毒は、発見されていない。
ということは、ひょっとして、まだリリティスの手元にあるということか。
ソレイユは、リリティスが、宴の当日身につけていた、美しい髪飾りを思い出した。
彼女の身に着けていたものは、そのまま牢にある。
兵士たちは、みな、毒そのものを隠し持っていないか調べていたため、
盲点になっているのだろう。
ソレイユは、部屋のドアに寄りかかったまま、次の策を考えていた。
・・・リリティス。
必ず助けるから、待っていてくれ。
扉一枚を隔てて、カルレインは、つかんだ手がかりを離すまいと、強く誓った。